私はゲームが好きです。
電子ゲームはもちろんアナログなゲームまで、あまりジャンルは問いません。
特に最近はパズルゲームをすることが多くなりました。
突飛な発想のゲームに出会えることが多いからです。
そのなかでも、大きく心を奪われたのがこちらのパズルゲーム。
Patrick’s Paraboxは丸い目が2つついた箱型のキャラクターを上下左右に操作して、
箱を押して所定の位置に片づける、 いわゆる「倉庫番」形式のパズルゲームです。
押すことしかできないので、箱を壁にくっつけてしまうと元に戻しにくくなる点も同じです。
以前に紹介しましたBaba Is Youよりもだいぶシンプルで、より倉庫番に近いルールです。
特徴は「中に入ったり出たりできる箱」があること。
箱をそれ以上押せない(壁に押し付けるような)状態で箱を押そうとすると、
体がぎゅっと縮まり、箱の中に入れます。
箱の中に箱を入れることも、箱の中から箱を取り出すこともできます。
取り出したときに大きさも元に戻ります。
「中に入れる箱」の中にも「中に入れる箱」があったりします。
マトリョーシカのような多重構造ですね。
この出入りできる性質を利用して、
箱を決められた位置に設置することが、このゲームのクリア条件です。
……ここまでは、さほど新鮮味のあるギミックではないように感じられるかもしれません。
もともと箱は、中に何かを入れておくための道具です。
「中に入れる箱A」の中に「中に入れる箱B」があっても、大して不思議なことではありません。
それでは、「中に入れる箱A」の中に「中に入れる箱A」があったとしたら、どうでしょう?
右に箱Aがあります。
箱Aの中に入ると、そこにも箱Aが。
その箱Aの中に入っても、箱Aがあります。
どんなに入っても箱A。出ても箱A。どうあがいても箱A。
箱の字がゲシュタルト崩壊してしまいそう。
外側の箱Aと内側の箱Aの違いは大きさだけ。
大きさ以外は同一の存在であり、内側で発生した事象は外側でも発生します。
「自分自身を内包した箱」とでも表現すればいいでしょうか。
無限構造を成しているため、どれだけ外に出ようと箱Aの中からは出られません。
ゲームならではの、とても奇妙で興味深い性質を持った箱です。
クリアすれば箱Aから脱出することが出来ますが、
当然、この箱Aの性質を利用しないとクリアできないようになっています。
プログラミングでも、「特定の処理のかたまり(A)の中で、特定の処理のかたまり(A)を呼び出す」という
構造のプログラムを作ることがあり、これを再帰処理と呼びます。
総当たり的に処理を行う時に非常に便利ですが、
ちゃんと作らないと箱Aのように無限ループに陥ってしまうので、取扱注意なシロモノです。
脱出手段を用意しておかないといけない点も、箱Aの性質と非常に似通っています。
さて、突然ですが問題です。
中身の違う箱Bですが、先ほどと同様に箱Bの中に箱Bがあります。
この箱Bを、箱Bの外に出したらどうなると思いますか?
答えが知りたい方は、ぜひダウンロードして遊んでみましょう!
Steamにて体験版が配信されています。
頭の体操にどうぞ。体験版だけでも濃密なひとときが味わえますよ。