蝉の声が遠ざかり、夜風はすっかりと秋の気配が混じり始める今日この頃でございます。
2025年の夏も気づけば過ぎ去ろうとしています。
しかし、ふとした瞬間に立ち止まると、まだどこかに夏の残り香が漂っていることに気づきます。
焼けたアスファルトの匂い、そして汗ばむ肌にまとわりついた陽射しの記憶。
振り返れば、暑さに辟易しながらも、どこか心を解き放ってくれる時間でした。
入道雲の逞しさ、花火大会の光の粒、冷たい麦茶の一口に救われた午後、思い出したらキリがない。
そんなひとつひとつが、今は少し切なくキラキラした思い出として胸に残っています。
けれど、季節は立ち止まってはくれません。これから訪れる秋は、静けさと深まりを運んでくれる季節。
たくさんの味覚、読書に没頭する夜、澄んだ空気の中で見上げる星、そして色づく山々が心を豊かにしてくれるでしょう。
夏の残り香を胸に抱きながら、これからの季節に思いを馳せる。
移ろいゆく時間の中で、私たちは少しずつ秋色に染まっていくのだと思います。