世の中には2種類の人間しか居ません。
「失敗から学べる人と、失敗から学べない人。」
この序文を読んでニヤリとした人はおそらく先週のアメトーク!を観た人でしょう。
さて、最近こんな本を読みました。
おおまかな内容はリンク先をご参照下さい。
どの章も面白かったのですが、印象に残った部分を書きたいと思います。
中世の医学で「瀉血」という治療法があったそうです。
昔は血液が体に悪さを及ぼすものと考えられていたため、患者から血を抜くことで症状が改善されると思われていました。
血を抜いても改善されない場合は更に血を抜き、その結果患者が亡くなることもよくあったそうです。
この場合、処置を行った医者は「瀉血をしても回復できないほど悪い病気だった。」と考え、瀉血という処置が誤りだとは思わなかったそうです。
21世紀を生きる私たちとしては「なんて無茶な!」と思いがちですが、実は現在でもあらゆる局面で同じような判断をしているかもしれません。
例えば売上を伸ばすための営業手法。
苦労してとある営業手法を思い付き、投資・実行したとします。
そうするとついつい「こんだけ考えたのだから何らかの結果が出るに違いない。」と意識的に、あるいは無意識的に考えてしまうことはないでしょうか。
で、結果が思わしくないと「今回の手法は悪くなかったが、外的要因が悪くてたまたまうまくいかなかっただけだ。」という結論に落ち着いたりしたります。
失敗した場合、この結論は発案者にとっても承認者にとっても、そして実行者にとっても望ましいものです。
しかし失敗から学べることは少ないでしょう。
「瀉血」の話ですが、もし当時医者が同じような症状の患者に対して、瀉血を行なうグループと行わないグループに分け、その結果を考察すれば「瀉血による改善の効果はない。」という正しい結論を得たかもしれません。
しかし当時はこのような評価方法は確立されていませんでした。
21世紀に生きる私たちはこの本などから正しい評価方法を知ることができます。
Google社は自社サイトの青色の違いによる宣伝効果を調べるために、微妙に異なる青色を使用したサイトを2つ用意しました。アクセスに応じてどちらのサイトを表示するかをランダムに決定し、それぞれのサイトの広告のクリック率を調べてどちらの色を使用するか決定したそうです。
これで「外的要因の影響」をある程度排除することができます。
今回は営業の話をしましたがもちろん技術にも応用できそうな話ですね。
冒頭の2種類の人間の話ですが、実はこの本の最後の方に似たような話が出てきます。
何らかの失敗をしてしまった時に「何が原因だったのだろう。」と考える人のほうが「自分には向いていなかった。」と考える人より次に同じことで失敗することが少ないそうです。
まぁ、当たり前の話ですよね。
歳を取ると自尊心という厄介な「心」が大きくなり、ついつい「自分には向いていなかった。」というプライドの傷つき難い結論に陥りがちですが、ミスはミスと認められる心を常に持ち続けたいと改めて思いました。
お薦めの本です。